DCF法の解説と実例

株で勝つために重要な、プロはどう考えているかという視点で
企業価値の算定によく使われるDCF法を素人がなぞって行きたいと思います

DCF法とは?

DCF法(ディスカウンテッド・キャッシュフロー法)とは、企業やプロジェクトの価値を評価するための手法で、未来のキャッシュフローを現在価値にディスカウントして合計することで企業価値を求めます

DCF法の計算手順

  1. 未来のキャッシュフローを予測
  2. 各キャッシュフローをディスカウントレートで現在価値に変換
  3. すべてのディスカウントされたキャッシュフローの合計を計算
  4. 終末価値(永続成長率を使用して未来のキャッシュフローを予測)をディスカウントして現在価値に変換し、上記の合計に加える

実例

以下は、ある企業のDCF法による企業価値を計算するために用意した例です

  • 初年度のFCF(フリーキャッシュフロー): 23億
  • 5年間のキャッシュフロー成長率: 5% 毎年
  • ディスカウントレート (WACC): 4.34%
  • 永続成長率: 1%

まず、5年間のFCFを予測します。成長率5%を適用してFCFを計算します。例えば、第1年は23億×1.05=24.15億23億×1.05=24.15億となります

次に、各FCFをWACCでディスカウントして現在価値に変換します。例えば、第1年の現在価値は24.15億/(1.0434)=23.13億24.15億/(1.0434)=23.13億となります

最後に、終末価値を計算します。終末価値は、最後の予測されるFCFを永続成長率で成長させ、WACCから永続成長率を引いたもので割った値となります。この例では、29.36億×1.01/(0.0434−0.01)=752.34億29.36億×1.01/(0.0434−0.01)=752.34億となります

この終末価値をWACCで5年後の価値にディスカウントすると、752.34億/(1.0434)5=606.75億752.34億/(1.0434)5=606.75億となります

ディスカウントされたFCFの合計とディスカウントされた終末価値を合計すると、企業価値として723.43億が求まります

WACC(加重平均資本コスト)の解説

WACCは、企業が使用する異なる資本のコストを適切に重み付けして平均化したものです。具体的には、株主資本と有利子負債のコストをその資本の全体に占める比率で重み付けします

WACCの計算式: WACC = (E/V) * Re + (D/V) * Rd * (1-Tc)

ここで、

  • E = 企業の株主資本
  • D = 企業の有利子負債
  • V = E + D (企業全体の価値)
  • Re = 株主資本のコスト
  • Rd = 有利子負債のコスト
  • Tc = 企業の実効税率
  1. 株主資本のコスト(Re): これは、株主が投資から期待するリターンであり、多くの場合CAPM(資本資産価格モデル)を使用して計算されます。Re = Rf + beta (Rm – Rf)ここで、
    • Rf = リスクフリーレート
    • beta = ベータ係数 (企業の株価の市場全体に対する感応度)
    • Rm = 市場の期待収益率
  2. 有利子負債のコスト(Rd): これは、企業が借入金や債券などの有利子負債のために支払う利息の平均レートです。
  3. エクイティウェイトと有利子負債ウェイト:
    • エクイティウェイト: E/V
    • 有利子負債ウェイト: D/V

これらの要素を組み合わせることで、WACCが計算されます。WACCは、企業のリスク調整後の期待リターンを示す重要な指標であり、DCF法でのディスカウントレートとして使用されます

まとめ

DCF法は、未来のキャッシュフローを現在価値に変換することで企業の真の価値を見積もる手法です
計算自体はシンプルですが、正確な予測や適切なディスカウントレートの選択が最も重要でそれにより大きく変動してしまいます

今回計算してみて思ったのは、割引現在価値に戻すためのWACCの計算が、リスクフリーレートって2%で良いの?負債コストって10年国債金利で良いの?株主資本コストの計算方法って色々あるけどどれを適応すればいいの?市場期待収益率が調べても出てこない・・・などなど
素人では不確定な要素が多く、実務経験がないとなかなか自信を持って指標と出来ないな、というのが感想でした

ただこのように調達コストとリターンのバランスで見ているんだと実感できてよかったです

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