一人抄読会 日常に役立つ編 料理版

グルメ

非常に興味深い内容のエビデンスを集めるための一人抄読会です
今回は料理についてです

パスタのコシを出すには硬水で茹でた方が良い

・Ca、Mg、Naの順にコシが出た

1 恵村上, 千陽森脇, 志保梅原, 梨沙岡田, ひとみ吉良. スパゲティのゆで状態に及ぼすゆで水中の金属塩類の影響. 日本調理科学会大会研究発表要旨集 2011; 23: 22–22.

【目的】スパゲティの好ましいゆで状態は「アルデンテ」という言葉が用いられ、スパゲティのおいしさにはその食感が重要視されている。著者らはこれまでに、スパゲティの硬さ及びアルデンテは破断応力と正の相関があり、ゆで水に含まれる金属塩類がスパゲティの硬さに影響を及ぼすことを報告している。そこで、本研究では水に含まれるCaイオンやMgイオンがスパゲティの硬さにどのような影響を与えるかを検討するため、ゆで水にそれらの金属塩類を添加し、検討を行った。【方法】金属塩類としてCaSO4、MgSO4、Na2SO4の3種類を用いた。これらの金属塩類を超純水に添加してゆで水とし、スパゲティをゆでた。スパゲティはイタリア産の直径1.6mmのものを用いた。それぞれのゆで水についてpH測定、温度測定、残渣測定を行った。また、ゆでたスパゲティについては破断測定を行った。【結果】pH測定では、スパゲティを加えず、水のみを加熱した場合ではCaSO4添加水、MgSO4添加水のpHは加熱後の方が有意に低かった。スパゲティを加えて加熱した場合では、Na2SO4添加水のpHは加熱後の方が有意に高く、CaSO4添加水、MgSO4添加水のpHは加熱後の方が有意に低くなった。温度上昇の経過については、各ゆで水間の差は見られなかった。ゆで水中の残渣測定では、CaSO4添加水、MgSO4添加水では見かけ上のゆで溶けは多くなったが、スパゲティ由来の残渣量に差は認められなかった。破断測定によるスパゲティの硬さへの影響はCaSO4>MgSO4>Na2SO4の順となった。Na2SO4によるパスタの硬さへの影響は認められなかった。

牛肉出汁は硬水で取った方が美味しい
野菜出汁は軟水で取った方が美味しい

・コントレックス、エビアン、南アルプスの天然水を用いて比較した論文
・官能評価で硬水が好まれる傾向にあった
・牛肉スープの場合はコントレックスで透明度にも影響があった

1 坂本真里子, 河野一世, 熊谷まゆみ, 赤野裕文, 畑江敬子. 水の硬度が煮出し汁の嗜好性と溶出成分に及ぼす影響. Journal of Cookery Science of Japan 2007; 40: 427–34.

硬度の異なる3種の水,南アルプスの天然水,エビアン,コントレックスを用いて,かつお節だし,野菜スープ,牛肉のスープストックを調製した。総窒素,遊離アミノ酸,イノシン酸,グアニル酸,有機酸の分析および官能評価を行い,水の違いを比較した。<br>かつお節だしでは用いた水の種類によって,遊離アミノ酸のパターンが異なっていた。官能評価では総合的な好ましさに有意の差は無かったが,エビアンと南アルプスの天然水が好まれる傾向にあった。野菜スープでは南アルプスの天然水に殆どの遊離アミノ酸が多く,次いでエビアンに多かった。官能評価ではこの両者が有意に好まれた。牛肉スープストックではコントレックスがアクを最も多く分離してスープは清澄であった。遊離アミノ酸合計量はエビアンに最も多く,ついでコントレックスであった。エビアンはイノシン酸,グアニル酸も有意に多かった。官能評価で最も好まれたのはエビアンであった。<br>硬度の異なる水で3種の煮出し汁を調製すると,溶出成分に差があった。煮出し汁の好ましさは溶出成分だけでなく,水そのものの味も影響することから,溶出成分と水の味との兼ね合いで好ましさが決まるといえる。

野菜は硬水で煮た方が煮崩れしにくい

・肉は柔らかくなった
・硬度は300程度が煮込み料理には勧められる

1 鈴野弘子, 石田裕. 水の硬度が牛肉,鶏肉およびじゃがいもの水煮に及ぼす影響. 日調科誌 2013; 46: 161–9.

牛肉,鶏肉,じゃがいもを硬度の異なる水で水煮して,煮汁のミネラル成分含有量,破断強度測定,組織構造の観察,官能評価を行い,水の硬度が煮込み料理に及ぼす影響を調べた。硬水で牛肉,鶏肉,じゃがいもを水煮したところ,水中のCa,Mgがこれらに吸着した。KとNaは,軟水より硬水で多く溶出した。破断強度値は,牛肉ではエビアンを用いて120分水煮したものが有意に小さく,じゃがいもは硬水ほど大きくなった。エビアンで水煮した牛肉は,筋内膜および筋周膜と,筋線維束の分離が顕著であった。じゃがいもは,硬水で水煮するとでん粉の糊化が抑制され,細胞同士が凝集した組織構造になった。エビアンで水煮すると,肉はやわらかくなり,じゃがいもは軟水より硬くなったことから煮崩れが防げると推測でき,肉や野菜も食する煮込み料理には,ある程度(硬度300程度)の硬度の水が適することが示された。

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