論文の書き方としていちばん重要な要素は流れです
日本語の文章では起承転結が有名ですが、世界的にはIMRaDが標準的な話の流れ、になります
研究者はそれで読むことに慣れているので、どんなに素晴らしい文章でも読みづらい印象や動揺を誘います
研究論文は独創的な小説ではないのです
IMRaDの詳細がwikiには具体例とともに載せられており非常に勉強になります
https://ja.wikipedia.org/wiki/IMRAD
そして今回はIMRaDを発展させた概念
更に分解した概念を提唱している論文を抄読していきたいと思います
この論文では2つのジャーナル(心臓系の雑誌 IF 2, 10の雑誌)を分析し、統計を出しています
いわゆる古典的なIMRaDは当然としてintroduction, methods, results and discussionの中の解像度を上げ、必須項目として30項目を挙げています
これに当てはまるように書くことで漏れなく情報を伝えることが出来ます
以下要約です
字数は4500字前後、25-30段落が多く、1段落130字ぐらいを推奨
その中で背景を1-4段落、方法を6-9段落、結果を4-9段落、ディスカッションと結論を10段落弱で仕上げる事が望ましい
そして引用文献は背景で5-10個、方法で5-15個、ディスカッションで10-20個程度を目処にすべき
Unfolding the sections
Introduction: 1 page (ideally), maximum 400 words over 1-4 paragraphs (ideally 3) – some journals restrict this to 350 words (E.g.: ABC); 5-10 references.
Methods: 2-3 pages (possibly higher in experiments resorting to innovative methods or plenty of techniques or sophisticated statistics) – not exceeding 750 words over 6 9 paragraphs; 5-15 references
Results: 2-3 pages of text, figures and tables, as strictly necessary; not exceeding 1,000 words over 4-9 paragraphs; usually without references.
Discussion: 3-4 pages of text; this is usually the most extensive part of the manuscript relating to word count4,8-10, with 1,000-1,500 words distributed over up to 10 paragraphs; including a conclusion paragraph, although some journals consider the latter another text section. The discussion usually has 10-20 references, with some of them possibly appearing in previous text sections.
各段落の埋め方として必須の項目30が以下です
これに沿って穴埋めして文章を繋げていく事で必要十分条件になりえます
背景
1.問題提起:今わかっていること
2.今わかっていることの解釈
3.知識のギャップ:つまり分かっていない事
4.調査の定義と目的:調査対象と仮説または目的。できれば結果や結論を含めない
メソッド
5.母集団とサンプル:包含および/または除外基準。インフォームドコンセントフォームへの参照と倫理委員会による承認
6.母集団とサンプルII:特定のサンプリングサブグループの説明、または必要に応じて、フォローアップと損失に関連する手順の詳細な詳細
7.主な方法:最も重要な変数または手順
8.主な方法II:上記の段落を展開する
9.二次的な方法:重要性の低い変数
10.研究プロトコル:何が行われたか、そしてそれがどのように行われたかについての詳細
11.研究プロトコルII:必要かつ正当化された場合の追加データ
12.統計分析-記述的および推論的方法
13.統計分析II:ソフトウェアと有意水準
結果
14.一般データ:サンプルの説明と患者選択フローおよび研究の実際のパフォーマンスに関する情報
15.主な結果:最も重要な変数
16.主な結果II:最も重要な変数の追加の結果とその他の分析
17.二次結果:他の研究変数
18.二次結果II:変数の追加の結果またはそれらの間の相互関係または相互作用
19.二次結果III:変数の追加の結果またはそれらの間の相互関係または相互作用
20.調査で実施されたその他の結果と分析
討論・結論
21.問題と研究の「独自の」提案:研究の問題について再度議論する
22.主な結果の解釈-発見されたものの意味
23.文献との比較:この結果が以前のデータとの整合性はどうか
24.文献とのさらなる比較:方法論的または機械的差異の調査
25.知識への主な結果の貢献:「新規性」または主なメッセージ、または現在の最先端への研究の貢献
26.二次結果の解釈:これらの結果が何を伝え、意味するか
27.二次結果の解釈II
28.この研究と以前の研究との比較:地域の知識のためのこの研究における貢献と発展
29.研究の限界:長所と短所。研究の弱点と方法論の問題、特にこれらの制限が結果とその解釈を実際どのように妨げる可能性があるか。研究の強みも強調しつつ、さらに研究されるべき問題の提起をする
30.結論と含意:これは研究の統合を表しており、通常、導入セクションの最後の段落で報告された仮説に答え、研究の目的を解決
Unfolding the paragraphs
Introduction
1. Problem – what is known?
2. Contextualization*
3. Knowledge gap – what is not known?
4. Definition and purpose of the study – what will be studied and the hypothesis or objective; preferably not including results or conclusions*
Methods
5. Population and sample – inclusion and/or exclusion criteria; reference to the informed consent form and approval by the ethics committee
6. Population and sample II – description of specific sampling subgroups or, when necessary, in-depth detailing of procedures connected to follow-up and losses*
7. Main methods – most important variable or procedure
8. Main methods II – unfolding the paragraph above*
9. Secondary methods – less important variables
10. Study protocol – detailing of what has been done and how it has been done
11. Study protocol II – additional data when necessary and justified*
12. Statistical analysis – descriptive and inferential methods
13. Statistical analysis II – software and significance level*
Results
14. General data – description of sample and information about the patient selection flow and actual performance of the study
15. Main results – the most important variables
16. Main results II – additional results and other analyzes of the most important variables*
17. Secondary results – the other study variables
18. Secondary results II – additional results of variables or the interrelation or interaction between them*
19. Secondary results III – additional results of variables or the interrelation or interaction between them*
20. Other results and analysis carried out in the study*
Discussion
21. The problem and the study’s “original” proposal – discussing again the study’s problem
22. Interpretation of the main result – meaning of what has been found
23. Comparison with the literature – how this result confirms previous data
24. Further comparison with the literature* – exploring methodological or mechanistic differences
25. The main result’s contribution to knowledge – the “novelty” or main message or contribution of the research to the current state-of-the-art
26. Interpretation of secondary results – what these results inform or mean
27. Interpretation of secondary results II*
28. Comparison of this study with previous ones – the contribution and developments in this study for the area’s knowledge
29. Limits of the study – strengths and weaknesses; the weaknesses and methodological problems of the study and, especially, how these limitations may hinder the practical application of the results and their interpretations. The strengths of the study may also be stressed, possibilities may be pointed out, as well as issues to be further researched – other knowledge gaps
30. Conclusions and implications – this represents a synthesis of the study, usually answering the hypothesis reported in the final paragraph of the introductory section, solving the study objective.
以上がIMRaDを発展させた概念を提唱する論文の抄読でした
論文を書き慣れない方にはこのようなエビデンスのあるテンプレートがあるととてもスムーズに論文が書けるのではないでしょうか
余談ではありますが、IMRaDのwikiには以下のようにオーサーシップなど副次的な論文のイロハの解説もあるので初学者は是非読んでみてください
オーサーシップについては、今回の例では、以下のような設定で書かれている。著者の順位については一部の分野では単にABC順の場合もあるが、 通常は、記載された位置が研究への貢献度を示す。本例のように「記載された位置が研究への貢献度を示す」ような書き方の場合は、研究倫理の観点から様々な指摘が生じる場合がある [91]。著者の種類は概ね以下のように分類される。
ファーストオーサー:その論文の中の実験を主に行った人。今回は、薮崎さんと飛騨さんが共に第一著者という設定になっている。
ラストオーサー:研究全般に渡ってアドバイスを与えた人。実質的には研究室の教授等、その研究の予算を取ったり設備を揃えた人であったり、職位の高い人がなる。今回の設定では企業と大学の共同研究であり、壇地さん(企業の部長相当職という設定)、洞爺さんが(大学の教授という設定)の両方がこれにあたるという設定である。
コレスポンディングオーサー:その研究を発案した人。その研究の内容に責任を持つ人であり、論文に関する外部からの連絡のウインドウパーソンであり、論文の著者欄に連絡先のメールアドレスが書いてある人である。准教授クラスの若手教員が担当することが多いが、ファーストオーサーやラストオーサーがなる事もある。本例では、第三著者の「綾瀬 Herminium みさお」氏がコレスポンディングオーサーであり、本例では、“†”で識別されている。コレスポンディングオーサーは、本来的には論文に関する外部からの連絡のウインドウパーソンという意味だが、「この研究の頭脳として動いた人」(責任著者)というふうに受け取る向きもある。
その他の著者:瀬戸内さんと、竹達さんがこれにあたる。研究に相応の貢献をした人(学部、修士、博士学生、他)、研究に重要な知見を与えた人(ポスドク、他)等が著者資格を持つ。貢献度が低いとみなされた場合にはacknowledgementにお礼として描かれる。